事業内容

  1. 事業内容
  2. 調査研究事業
  3.  調査研究事業概要

調査研究事業概要

  へき地など地域住民の疾病の特異性、病態生理とその原因等を明らかにし、それに対する有効な対策について基礎的・総合的な調査研究を行うほか、同地域における高齢化、少子化の進展に対応した保健・医療・福祉に係る諸施策を支援するための調査研究を行う事業です。

■調査研究事業

地域社会健康科学研究所

当財団に設置する、「地域社会健康科学研究所」は、昭和48年4月に環境医学研究部門、血液医学研究部門、病態生理研究部門、情報システム研究部門の4部門からなる『へき地生態科学研究所』として設立し、平成元年5月には同研究所大宮支所を設立しました。

その後、地域社会における高齢化、少子化の急激な進行や介護保険制度の実施をはじめとする保健・医療・福祉を統合した新たな施策に対するニーズに応え、併せて全国各地の地域医療の現場に対する支援を強化するため、平成10年4月に保健科学研究部門、健康福祉計画研究部門の2部門を加え、その名称を『地域社会健康科学研究所』に改めました。

同研究所では、それぞれの研究部門において、以下の調査・研究を行っています。

1) 環境医学研究部門(環境医学研究室)

●地域における疾病の環境要因の解明に関する研究

地域の高齢化に伴う疾病構造、要介護の原因の多くを占める心血管系疾患に注目し、循環器疾患と環境因子との関係に関する研究を行い、その成果を取りまとめ、地域社会に暮らす住民の疾病予防、および健康寿命の延長即ち高齢者の身体的健康の維持・向上に貢献する情報発信を行っています。

2) 血液医学研究部門(人類遺伝学研究室)

●地域における疾病の特性と遺伝要因の解明に関する研究

心血管病の発症に強く影響する生活習慣病は、環境要因とともに遺伝素因の関与もあるとされており、地域医療の現場でも食習慣等の環境因子のみを原因としては説明できない特異性を持つ地域が存在することから、ゲノム解析を行い、環境要因と遺伝素因との相互作用の解析を含めた生活習慣病発症の要因の解明を行っています。

3) 保健科学研究部門(公衆衛生学研究室)

●地域特性を踏まえた予防医学事業の企画、推進に関する研究

少子化、高齢化の顕著なへき地などの地域社会に暮らす住民が、健康な生活をおくるためには、保健・医療・福祉を統合した新たなシステムが必要です。これらのニーズを疫学的に把握し、新たな施策提言のための自然、生活、社会の外的環境および心理、栄養など内的環境の評価方法の開発とこれらの方法で把握したニーズを用いた実際の施策提言の検討を行っています。

4) 健康福祉計画研究部門

(1)地域医療学研究室

●地域医療における好発疾患や医療体制に関する研究
地域医療の課題は多岐にわたり、かつ学際的な解決を求めています。へき地を含む「地域」において好発する疾患の病態解明、在宅医療を含めた診療の向上、ビッグデータも用いた医療や介護の体制づくりに関する基礎から実践的研究を推進して、「地域」をデザインすることを目指しています。全国の各地を結んでの研究ネットワーク形成や、国際的なコラボレーションも視野に入れて研究しています。

(2)地域健康福祉研究室

●地域特性を踏まえた保健・医療・福祉施策の企画・実施方法に関する調査研究
地域社会の少子・高齢化や家族機能の変化により、健康福祉サービスの提供における「地域」の重要性が高まっています。ケアに関わるサービスや人材が不足している地域と、医療・地域福祉の先進地域での調査を行い、専門職と住民との関わりが地域の健康福祉実践にもたらす変化を明らかにし、地域の人的資源がより有効に機能するための社会的条件を検討しています。

(3)総合診療研究室

●地域における総合医と診療の在り方に関する研究
わが国は超高齢社会を迎え、総合的に患者さんを診る「より良きジェネラリスト」へのニーズは日々増加し、社会からの総合医への期待は大きくなってきています。「機能分化と連携」を目指すこれからのわが国の医療システムにおいて、全国の地域医療の現場の医師と協力しつつ、地域医療における総合医療・総合医の在り方を検討しています。

5) 病態生理研究部門

(1)臨床検査医学研究室

●病態検査、臨床生理等を用いた基礎的・臨床的研究
へき地住民には、動脈硬化症をはじめとする循環器疾患、肝・消化器疾患、神経疾患、腰痛肩痛などの骨格筋疾患が多く見られます。臨床検査医学研究室では、これらの疾患の成因を明らかにするため、また新たな診断法を開発するため、検体検査、生理機能検査について、基礎的、臨床的に研究を行っています。

(2)病理学研究室

●悪性腫瘍の発生機序等に関する細胞病理学的研究
悪性腫瘍の発生機序には、ホルモン刺激、ストレス耐性、幹細胞性、分化の制御異常などさまざまな細胞生物学的要素が含まれています。病理学研究室では、病理形態学を基盤としつつ、分子生物学的手法をとりいれ、病理組織、培養細胞、マウスを用いたさまざまな実験系で多彩な癌の発生と進展機構の解明を目指し研究を進めています。

6) 情報システム研究部門(情報センター)

●包括医療情報システムの開発に関する研究

地域医療の水準を向上させるためには医療情報伝達システムの応用が必須であることから、次世代通信規格の地域医療への応用および地域医療の情報共有に必要とされるセキュリティの程度について具体的な事例を集め、実用的な手順を検討しています。

7) 実験医学センター

●疾患モデル動物の作成・維持・管理・評価の支援システムの研究 

少子・高齢化が特に顕著な地域社会に暮らす住民の疾病の特異性、病態生理、その原因を明らかにするとともに、それに対する有効な対策について研究することが重要であることから、これらの基礎研究、特に動物を用いた疾患モデル動物の作成、維持・管理、評価等を支援する基盤システムの構築と改良を目標とした研究を行っています。

 

地域社会健康科学研究所

研究所ロゴ

 

地域社会健康科学研究所さいたま支所

 循環器疾患、消化器疾患、がん、救命救急医学、麻酔・集中治療等の先端基礎研究やトランスレーショナルリサーチを行い、研究成果を地域医療にフィードバックしています。

地域社会健康科学研究所さいたま支所